趣意

1975年、ボストン日本語学校は公益法人ボストン日本人会の下に設立され、僅か25名の子供達の日本語教育の場としてスタートしました。すべてが手探り状態の中、学校を創立するために中心となって奔走してくださったのが、初代校長増渕興一氏。当時は苦労が大変多く、教室探しから教員確保まで、増渕氏と共に多くの有志者達が力を尽くされたと伝えられています。保護者全員が学校運営に関わる小さな組織でしたが、現在では、幼稚部、小学部、中学部、高校部、日本語の5学部で、700名以上の子供達が学習しています。

本校は、補習授業校と呼ばれ、毎週土曜日3時間授業をおこなっています。小中高部では、日本国内で使用している教科書を用いて、国語を中心に基礎基本を習得するための授業を実施しています。また、算数(数学)や日本史などの授業だけでなく、日本文化や幼児対象総合学習、運動会などの活動も取り入れ、多面的な日本語教育の場を提供しています。

本校に通うすべての子供達は、平日は現地校にて英語で教育を受け、土曜日はここボストン日本語学校で日本語教育を受けています。よく子供は簡単に言葉を習得できると聞きますが、学習言語として英語と日本語を両立することは、非常に難しいものです。また、ふたつの文化の中で、戸惑いを感じる事や、辛い経験もあるでしょう。しかし、本校の生徒は、日常の生活において、文化や社会を相互に理解する重要性や、共に協力して生きる力、そして、そのために必要な言語力を習得しています。

増渕ボストン日本語学校支援基金は、そのような未来の国際社会に貢献できる子供達を支援するために設立されました。本校では、年間学校運営費予算の約10パーセントにあたる額を、日本政府から助成していただいておりますが、主な運営資金は保護者からの授業料です。開校以来、経費の節約や、保護者の皆様の全面的な協力のもと、自助努力に努めてまいりましたが、本校を取り巻く経済環境はますます厳しくなっていると言わざるを得ません。

子供達に安全でより良い日本語教育環境を、ここアメリカで提供することが当基金の目的です。支援の対象は、校舎借用関連、安全性の確保、及び教育レベルの向上などが挙げられます。厳しい経済情勢のもと、誠に恐縮ではありますが、当基金の趣旨をご理解いただき、ひとりでも多くの子供達が本校から笑顔で巣立っていけるよう、皆様からの温かいご支援とご協力をお願い申し上げます。